組織が静かに壊れていく危険な兆候「社員が最近、よそよそしい気がする」「なんとなく社内の空気が重い」
経営者の方からそんなご相談を受けるとき、私はある一つの「問い」を投げかけることにしています。
「社長、最近社員の方に『ありがとう』と伝えたのはいつですか?」
こう聞くと、「いや、心の中では感謝していますよ」とおっしゃる方がほとんどです。しかし、厳しいことを言うようですが、心の中で思っているだけでは、それは「無い」のと同じです。
よく言われる言葉ですが、「感謝」の反対言葉をご存じでしょうか。
それは、「当たり前」です。
経営をしていると、ついこの「当たり前」の感覚が忍び寄ってきます。
「給料を払っているのだから、働いてくれて当たり前」
「役職者なんだから、残業してでも数字を作るのが当たり前」
「言われたことをやるのが部下の仕事として当たり前」
社長の心にこの「当たり前」が居座り始めたとき、それは組織にとって極めて危険な兆候です。社員は敏感です。「自分は道具として見られている」と感じ取ると、心は急速に離れていきます。
かつての私も、恥ずかしながらそうでした。「数字で結果を出すのが私の責任、部下の責任」と肩に力が入りすぎ、社員が動いてくれることを「当然の機能」のように扱ってしまったのです。その結果、人は離れていきました。
感謝の気持ちは、目に見える「形」にして初めて相手に届きます。
「形」といっても、高価なボーナスや報奨金のことだけではありません。
朝礼で「昨日のあの対応、助かったよ」と皆の前で口に出すこと。
給与明細に、手書きのメモを一言添えること。
プロジェクトが終わった後に、缶コーヒー一本でもいいから「お疲れ様」と手渡すこと。
そんな些細な「形」の積み重ねが、「ここでは自分の仕事が見てもらえている」という安心感に変わります。
もし今、社内の空気に違和感があるなら、まずは今日、誰かの仕事に対して意識して「ありがとう」を言葉にすることから始めてみませんか。
「当たり前」という感覚を捨てた瞬間から、組織の空気は変わり始めます。
社員の心が離れる前に。「人を大切にしながら利益を出す」組織作りはこちら
- ビジネスコーチからの問い
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ 社員がやってくれている仕事の中で、あなたがいつの間にか「やってくれて当たり前(言わなくてもやるべき)」だと思ってしまっている業務は何ですか?
[サムネールは ChatGPT で作成しました。]
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