「食べ物を腐らせないための冷蔵庫を、アラスカなどの寒冷地で、食べ物を凍らせないための家電商品として販売する」
経営学者のドラッカーが遺した、有名な言葉です。
物理的には何も変えなくても、お客様にとっての「価値」を変えることで、それは経済的に「新商品」になる。まさにイノベーションである、と。
これは、私たち中小企業が、大企業とは違う土俵で戦うための、非常に重要なヒントだと私は思います。
莫大な開発費をかけなくても、視点を変えるだけで、新しい価値は生み出せる。
素晴らしい気づきです。
しかし、この素晴らしい「イノベーション」を実行しているにもかかわらず、多くの経営者が陥ってしまう「ミス」があります。
そして、それはかつて手痛い失敗を味わった、私自身のことでもあります。
それは、「新しい価値」を発見したにもかかわらず、それに「新しい価格」をつけ忘れてしまうことです。
会社を立て直す前の私は、まさにこれでした。
お客様の「Aという悩み」を解決していたサービスを、「Bという悩み」にも応用できると気づいた。
まさに「冷蔵庫をアラスカで売る」のと同じ発見です。
私はその「イノベーション」に興奮しました。
さっそく「Bという悩み」を持つお客様にも提供を始めました。
しかし、私はその時、とんでもない勘違いをしていたのです。
「物理的には何も変わっていないのだから」
「単に『使い方』を提案しただけなのだから」
そう思い込み、まったく同じ、あるいは「お試し」として、むしろ安い価格で提供してしまったのです。
お客様は喜びましたが、当然、会社に利益は残りません。
それどころか、「B」のお客様に対応するため、社員たちの目に見えない手間(=価値)は確実に増えていました。
私は、せっかく見つけた「イノベーション」を、自ら「利益の出ないタダ働き」に変えてしまっていたのです。
私は、社員たちのその頑張りに、まったく報いることができませんでした。
ドラッカーが言ったのは、「経済的に新商品を開発したのと同じ」ということです。
「経済的に」ということは、そこには必ず「利益」が伴わなければなりません。
お客様が「凍らない」という価値に(「冷える」とは違う)魅力を感じてくれるなら、それはもう、別の商品なのです。
そこに、堂々と、その価値に見合った「適正な価格」をつける。
そこまでやって初めて、その「イノベーション」は完成します。
その利益があってこそ、社員に報いることができ、次のイノベーションへの投資ができるのですから。
あなたの「イノベーション」、社員の疲弊だけで終わっていませんか?
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ あなたが「イノベーションだ」と見つけたその新しい価値に、古い値札をつけたまま満足していませんか?
[サムネールは ChatGPT で作成しました。]
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