仲間と酒を飲むと、時々「あの時、もっと早くやめておけばよかった」という話になります。私にも、そんな苦い経験があります。以前、ある「社長塾」を手掛けていた時のことです。鳴かず飛ばずで、毎月のように赤字が積み上がっていく。頭では「これはもう潮時だ」と分かっているのに、心が言うことを聞かないのです。
「ここまで時間もお金もかけてきたんだ」「もう少し頑張れば、きっと状況は好転するはずだ」と。今思えば、これは悪魔の囁きでした。いわゆるサンクコスト、埋没費用というやつですね。投下したコストが惜しくて、正常な判断ができなくなってしまう。
一度信じて始めた事業だからこそ、自分の手で終わらせることに恐怖と抵抗を感じていました。まるで、自分の過去の決断そのものを否定するようで、怖かったのです。
本当に失っていたのは、お金よりもっと大切なもの
赤字を垂れ流し続ける日々は、じわじわと私の体力を、そして何より心を蝕んでいきました。銀行口座の数字が減っていく恐怖はもちろんですが、それ以上に失っていたものがあったことに、当時は気づけませんでした。それは、未来への「時間」と「精神的な余裕」です。
不採算な社長塾に気を取られている間、もっと伸ばせるはずの他の事業に集中できなかった。新しい挑戦への意欲も削がれていきました。何より辛かったのは、信じて参加してくださっていた塾生の方々の顔を思い出すことでした。私の迷いが、彼らに最高の価値を提供できていないという焦りに繋がっていました。「このままでは、貴重な時間とお金を投資してくれた彼らの期待を裏切ってしまう」。その罪悪感は、単なる金銭的な損失よりもずっと重く、私の肩にのしかかりました。
「やめる」ことは「負け」じゃない、未来のための「攻めの采配」だ
どん底の気持ちで、ようやくその社長塾からの撤退を決断した時、不思議と心が軽くなったのを覚えています。もちろん悔しさはありました。しかしそれ以上に、目の前の霧が晴れていくような感覚でした。そして気づいたのです。
「撤退」は失敗や敗北なんかじゃない。むしろ、未来のために限りある資源を再配分する、極めて重要な「戦略的判断」なのだと。一つの事業をやめたことで、私は時間と心の余裕を取り戻し、本当に力を入れるべき事業に集中することができました。それはまさに、事業全体を救うための「損切り」であり、次の一手を打つための「攻めの采配」だったのです。
もしあなたが今、過去の投資に縛られて「やめる」決断ができずにいるのなら、思い出してください。その決断は、あなたの事業とあなた自身の未来を守るための、最も勇敢な仕事の一つです。
赤字事業の撤退判断を、信頼できる経営参謀と相談したいあなたへ
ビジネスコーチ大本から、今日のコーチングです。
▼ いま気がかりな事業(商品やサービス)を思い浮かべてください。もしも今、その事業(商品やサービス)をやっていないとしたら、これから新たにその事業をスタートさせますか?その理由はなんでしょうか?
#経営参謀サービス #ビジネスコーチ #エグゼクティブコーチング #損切りは大事 #経営判断 #事業撤退 #サンクコスト #経営者の悩み #経営者 #社長 #起業家 #スタートアップ経営 #30代経営者 #40代経営者 #未来への投資
サムネールは ChatGPT で作成しました。