今でも、あの時の自分の醜い心を思い出すと、胸が張り裂けそうになります。
課長として総務部を率いていた頃、私には一人の優秀な部下がいました。入社当初から抜きん出た才能を発揮し、私が喉から手が出るほど欲しかった成果を、彼女はいとも簡単に掴み取っていく。
会議室に響き渡る賞賛の拍手の中、私は笑えませんでした。
「おめでとう」という言葉が、どうしても喉の奥に引っかかって出てこない。
彼女の輝かしい成功が、まるで私自身の無能さを白日の下に晒すように思えてならなかったのです。
「このままでは、自分の居場所がなくなる」
その得体の知れない恐怖と焦りが、私の心の中で、嫉妬という名の醜い怪物へと姿を変えていきました。私は、自分の器の小ささを認めるのが怖かった。ただ、それだけだったのです。
無意識にやっていた、才能の芽を摘む行為
一度芽生えた嫉妬心は、自分でも気づかないうちに、私の言動に影響を与えていました。
彼女が新しい企画を提案すれば、わざと欠点ばかりをあげつらい、皆の前で自信を失わせるような質問を浴びせる。良い改善提案をしても、手放しで褒めることはせず、「それも一理あるけれど・・・」と、重箱の隅を突くようなことを言う。
意図的な嫌がらせではありません。
むしろ、良かれと思ってやっていたフシさえあります。「彼女の成長のためだ」と、自分自身に言い聞かせながら。しかし、その本質は、自分を追い越していく才能への恐怖と、それをコントロールしようとする私の浅はかな支配欲でしかありませんでした。
当然、チームの空気は最悪になりました。
彼女の瞳から輝きが消え、他の社員たちも私の顔色をうかがうように、挑戦的な意見を口にしなくなりました。私が潰していたのは、一人の部下の才能だけではありませんでした。チーム全体の未来、会社の成長の芽そのものを、私は自らの手で摘み取っていたのです。
リーダーの最大の仕事は、自分を超える部下を育てること
会社が傾き、すべてを失ったどん底で、私は嫌というほど自分自身の愚かさと向き合うことになりました。
そして、手痛い失敗の末に、ようやく一つの事実にたどり着いたのです。
リーダーの仕事とは、自分が一番優秀であることではない。
自分がいなくても回るくらい、自分よりも優秀な人間を育て上げ、彼らが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えること。それこそが、リーダーに課せられた、唯一にして最大の仕事なのだと。
自分を超える部下の登場は、自らの無能さの証明などでは決してない。
むしろ、自分のリーダーシップが正しかったことの、何よりの証なのです。
その当たり前の事実に気づくのに、私は会社を一つ潰すという、あまりにも大きな代償を払わなければなりませんでした。
もし、かつての私のように、部下の才能に脅威を感じている経営者がいるのなら、どうか思い出してください。
その嫉妬心は、あなたの会社が次のステージへ上がるための、重要なサインなのかもしれません。
「部下の成長が怖い」その孤独な胸の内を話せる経営参謀がいます
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ あなたが最後に「こいつには敵わない」と感じた部下の顔を、思い浮かべてください。その人の成功を、今、あなたは心から願えていますか?
サムネールは ChatGPT で作成しました。
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