「あの会社、バカなことやってるな」と笑われたなら、それはチャンスかもしれない

社長専門コーチング

同業者と話していると、時々こんな会話になりませんか。
「A社、なんか変わったこと始めたらしいよ」
「ああ、聞いた。でも、あんな面倒なこと、儲かるわけないよな」

多くの経営者は、他社の新しい取り組みを、つい昨日までの「常識」という物差しで測ってしまいます。
そして、その物差しからはみ出したものを「バカなこと」「非合理だ」と切り捨ててしまう。
その、同業者から「バカだ」と笑われるような一見、非合理な取り組みこそが、実は会社をその他大勢から抜け出させる、最高の戦略かもしれないのです。

「儲からないだろ」と笑われた、たった一台の代車

ある小さな自動車整備工場の社長さんから聞いた話です。
その工場は、ありふれた街の整備工場の一つで、特徴らしい特徴はありません。
価格競争も激しく、どうすればお客様に選ばれる存在になれるのか、頭を悩める毎日だったそうです。

そんな時、あるお客様からポツリと、こんなことを言われたそうです。
「代車が軽トラックだと、仕事の道具が全部積めないんだよな…」
その一言が、社長さんの頭にずっと引っかかっていました。
そこで、採算度外視で、荷台に幌(ほろ)をつけた特別なトラックを、代車として一台だけ用意したのです。

周りからは「たった一人の客のために、バカな投資だ」「そんなことしても儲からない」と散々言われました。
まさに「非合理」の極みだったかもしれません。
しかし、その噂を聞きつけた職人さんたちが、次から次へとその工場を選んでくれるようになったのです。
彼らにとって、その「たった一台の代車」は、他のどんな割引サービスよりも価値があった。
まさに、死ぬほど欲していたサービスだったのです。

「なるほど」と「でも、うちはやらない」が最強のビジネスモデル

この話から、私はビジネスの何たるかを学びました。
他社が「バカなことやってるな」と笑っている時、一部の熱狂的なお客様は「これを待っていたんだ!」と拍手を送ってくれる。
そして、その取り組みが成功したと分かると、笑っていた同業者は手のひらを返し、「なるほど、そういうことか」と真似をします。

しかし、ここからが重要なポイントです。
彼らが納得した上で、「お客様が喜ぶのは分かるけど、面倒だからうちではやりたくないね」と言ってくれたらしめたもの。
その「面倒くさい」という感情こそが、あなたの会社を模倣から守る、最強の参入障壁になるのです。

法律や道徳に反しない限り、お客様が「これ、やってくれたら本当に助かるんだけどな」と心の底で求めているものがあるはずです。
それがどんなに面倒で、非合理に見えようとも、それに応え、採算に乗せるのが私たち経営者の腕の見せ所。
大手にはできない、その小さなニッチにこそ、中小企業が輝く場所があると、私は確信しています。

あなたの「バカげたアイデア」、もしかしたら金の卵かもしれません。一度、聞かせてくれませんか?


ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。

▼あなたが「面倒だ」「儲からない」という理由だけで、これまで見て見ぬふりをしてきたお客様の”わがまま”な要望は、何ですか?

[サムネールは ChatGPT で作成しました。]

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この記事を書いた人
おおもと経営オフィス 代表
大本 佳典

大本佳典【公式】 / Yoshinori Oomoto
おおもと経営オフィス 代表
1993年より企業経営に携わる、「経営者の心に寄り添う経営コンサルタント」
[経歴と実績]
経営戦略立案、融資サポート、ビジネスコーチングの専門家。年間のセミナーなど登壇回数は100本超え。
北海道商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、北海道商工会連合会エキスパートバンク登録専門家として活動。
[趣味]
美味しい料理と日本酒を楽しむこと、写真撮影。
北海道を愛車の MINI COOPER で走り回ること。年間走行距離は30,000km超。
[ブログについて]
経営者の皆様に寄り添い、実践的なビジネス戦略や心構えについて発信してます。
失敗と復活を経験した視点から、北海道の企業の成長と発展に少しでも貢献できたら嬉しいです。

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