今となっては笑い話ですが、私にも「とにかくこの場所から逃げ出したい」と本気で思っていた時期があります。若い頃、車の販売会社で営業マンとして働いていた時のことです。「気合が足りん!」「お客様の家に日参してでも売ってこい!」そんな昭和の根性論が、絶対的な正義としてまかり通る職場でした。会議では上司の怒声が飛び交い、達成できない目標数字に、ただただ心がすり減っていく毎日。もちろん、厳しい環境が人を育てる側面があることは否定しません。しかし、当時の私には、その厳しさが理不尽な精神論にしか思えませんでした。「会社のやり方がおかしい。この上司の下では、自分は正当に評価されない」。そう信じ込み、不満を募らせていました。
上司の圧に耐えられず逃げるように転職をしましたが、そこには根性論の似たような上司がいたのです。
「環境さえ変えれば、きっとうまくいく」。私はそう信じて、その会社を逃げるように退職しました。そして、縁あって別の会社に転職することができたのです。これでようやく、あの理不尽な上司から解放される。そう安堵したのも束の間、私は愕然とすることになります。新しい職場にいた上司が、前の会社の上司と驚くほどそっくりだったのです。もちろん、見た目も話し方も違います。しかし、問題の本質、つまりプロセスを無視して結果だけを問い詰める姿勢や、部下を精神的に追い詰めるマネジメントのスタイルは、瓜二つでした。「なぜだ…」。私は天を仰ぎました。場所を変え、会社を変えたはずなのに、なぜまた同じような人間関係の壁にぶつかってしまうのか。深い絶望と徒労感が、私を包み込みました。
自分の仕事に対する向き合い方を変えない限り、環境は変わりません。
どん底の気持ちで自問自答を繰り返すうち、私はある一つの可能性に思い至りました。もしかしたら、問題は「環境」や「上司」といった外部の要因だけではないと。
二人の上司に共通していたのは、私自身が彼らの顔色をうかがい、自分の意見を言えず、ただ不満を溜め込むという「受け身」の姿勢で仕事に向き合っていたことでした。環境のせいにして、自分自身が変わる努力を怠っていたのです。「類は友を呼ぶ」とはよく言ったもので、自分の仕事への向き合い方や心のあり方が、知らず知らずのうちに、似たような環境や人間関係を引き寄せていたのかもしれません。
この手痛い経験は、私に大切なことを教えてくれました。もし今、あなたの会社で社員の離職が続いているとしたら、それは単に待遇や環境の問題だけではないかもしれません。社員が仕事への向き合い方を変え、成長できる実感を持てるような関わりを、経営者としてできているか。これは、私自身が常に自分に問いかけている「処方箋」でもあります。
「また同じ理由で社員が辞めた…」その根本原因を第三者の視点で探る
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ あなたが「会社の文化だから仕方ない」と諦めている問題は、もしかしたらあなた自身の「あり方」が作り出している可能性はありませんか?
[サムネールは ChatGPT で作成しました。]
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