会社の専務だった頃、私の名刺入れはいつもパンパンに膨れ上がっていました。異業種交流会や飲み会に顔を出しては、きらびやかな肩書の人たちと名刺を交換する。その一枚一枚が、自分の価値を証明する勲章のように思えていました。
「あの会社の社長と繋がった」「この業界のキーマンと知り合いだ」。手帳が有力者の名前で埋まっていくたびに、私は自分の人脈の広さに酔いしれていました。しかし、今思えば、私が見ていたのは「その人」自身ではありませんでした。見ていたのは、その人の背景にある会社の看板や、肩書きだけだったのです。この関係から、自分は何を得られるだろうか。常にそんな損得勘定で、人と付き合っていました。
本当に困った時、電話をかける相手がいなかった
会社の経営が傾き、ついに倒産の時を迎えた日。あれほど鳴り響いていた私の携帯電話は、嘘のように静まり返りました。蜘蛛の子を散らすように、あれだけいたはずの「人脈」は、私の周りから消え去っていました。
藁にもすがる思いで、携帯の電話帳を開きました。そこには、何百人という名前が並んでいます。しかし、スクロールする指は、途中で何度も止まりました。この人に電話して、一体何を話せばいい?会社の看板を失った私に、助けを求められるような相手は、一人もいなかったのです。
名刺の数だけは、たくさんありました。しかし、心の底から「助けてくれ」と言える相手は、どこにもいなかった。これこそが、本当の「どん底」でした。孤独という言葉の意味を、この時、生まれて初めて骨の髄まで理解した気がします。
「GIVE」を忘れた者に、「TAKE」は訪れない
人が冷たいのではありませんでした。罰が当たったのです。私がこれまで、相手の肩書や利害関係でしか人付き合いをしてこなかったことへの、当然の報いでした。
自分は、これまで目の前の相手に何を与えてきただろうか。相手の成功を心から願い、見返りを求めずに手を差し伸べたことが、一度でもあっただろうか。答えは、ノーでした。常に自分の利益ばかりを追い求めていた人間が、自分が困った時だけ助けてもらおうなんて、そんな都合の良い話があるわけがなかったのです。
本当の人脈とは、名刺の数ではありません。もしあなたが無一文になったとしても、「お前、大丈夫か?」と、一杯のラーメンをおごってくれる友が何人いるか。そのことの方が、よほど大切です。この手痛い失敗が、私の人生における人間関係の礎を、根底から作り変えてくれました。
その人脈、あなたの「肩書」がなくなっても残りますか?利害関係のない経営参謀に相談してみる
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ もし明日、あなたの会社の看板と役職がすべてなくなったとしたら、今と同じようにあなたに会ってくれる人は、何人思い浮かびますか?
[サムネールは ChatGPT で作成しました。]
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