「アリとキリギリス」という物語を、私たちは子供の頃から知っています。夏の間、汗水たらして食糧を蓄えたアリと、歌やバイオリンに興じて冬に泣きを見たキリギリス。この話、他人事だと言い切れる経営者は、果たしてどれくらいいるでしょうか。
売上が大きく上がった月。資金繰りに余裕ができたとき。
私たちの心の中では、決まってあのキリギリスが楽しげに歌い始めます。
「よく頑張ったじゃないか」「少しくらい贅沢してもいいだろう」「この好景気はまだ続くさ」と。
その歌声は甘美で、つい聞き入ってしまうものです。
私にも、専務時代にその誘惑に負けてしまった苦い記憶があります。
目先の数字に安堵し、「備え」という最も重要な経営判断を後回しにしてしまったのです。
30年愛され続ける旅館の「アリの知恵」
私が以前お会いした、北海道のある町の旅館のマスターの話をさせてください。
その旅館は、もう30年以上もの間、多くの旅人に愛され続けています。
決して大きな旅館ではありません。しかし、そこには不思議と客足が途絶えないのです。
なぜか。答えは、マスターの徹底した「アリの経営」にありました。
彼は、繁忙期に得た収益を、決して懐に入れるだけにはしませんでした。
毎年、その収益の一部を必ず「未来の宿泊客のため」に再投資し続けたのです。
ある年は客室のユニットバスを新しくし、ある年は館内全体にWi-Fiを整備し、またある年は快適な空調設備を導入する。
その一つひとつは、決して派手な投資ではなかったかもしれません。
しかし、30年という歳月をかけてコツコツと積み重ねられた「備え」は、大手企業が月契約で利用するほどの絶大な信頼へと育っていきました。
マスターは、キリギリスの歌に耳を貸さず、お客様の「ありがとう」という未来の声に耳を澄ませていたのです。
売れたときにこそ、未来の種を蒔く
商売とは不思議なもので、順調な時ほど足元をすくわれやすいものです。
「売れたから安心」なのではなく、「売れた今だからこそ、次に備える」という姿勢こそが、会社を本当の意味で強くします。
それは、ただの節約や内部留保の話ではありません。
未来のお客様を笑顔にするための設備投資。
社員がもっと働きやすくなるための環境改善。
時代の変化に対応するための新たな学び。
そうした「未来への種蒔き」に、どれだけ覚悟を持って資金を振り向けられるか。
あの旅館のマスターの姿は、経営者である私たちに、その本質を静かに、しかし力強く語りかけてくれているように思います。
繁忙期の利益を『未来への備え』に変える経営計画を、参謀と共に立てませんか
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ もし今、あなたの会社に予想外の利益が生まれたとしたら、そのお金で「未来のどんな可能性」に投資しますか?
サムネールは ChatGPT で作成しました。
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