「うちの業界では、これが常識だから」
この言葉、実は経営の未来を縛る、最も危険な呪文かもしれません。
私たち経営者は、知らず知らずのうちに、自らの業界の「当たり前」という名の色眼鏡で世界を見てしまいがちです。
しかし、その常識、本当に今の時代、そしてお客様のためになっているのでしょうか。
かつて私自身が、この「常識」という壁を壊すことで、新たな道を切り拓いた経験があります。
「裏切り者」と呼ばれても、お客様を信じた日
私がタクシー会社の経営に専務として関わっていた頃の話です。
当時のタクシー業界には、料金は全社一律という「護送船団方式」の、鉄の掟がありました。
他社との差別化が極めて難しい中で、「ポイントカードのようなサービスは、和を乱すからやってはいけない」というのが、暗黙の了解であり、絶対的な常識だったのです。
しかし、私はずっと疑問でした。
一歩、業界の外に出れば、スーパーでも、家電量販店でも、ポイントカードは当たり前。
お客様が喜ぶサービスを、なぜ私たちの業界だけが提供してはいけないのか。
周囲の猛反対を押し切り、私は「ポイントためてプレゼント」キャンペーンを断行しました。
案の定、同業の経営者たちからは「裏切り者」「抜け駆けだ」と、厳しい批判を浴びました。
しかし、お客様の反応は、私たちの想像をはるかに超えていました。
「こんなサービスを待っていたんだよ」「乗るなら、おたくのタクシーがいい」。
お客様からの喜びの声が、何よりの励みでした。そして、驚くべきことに、あれだけ私たちを批判していた同業他社が、次々と真似し始めたのです。
答えは、いつも「お客様」の中にある
この経験から、私は確信しました。
業界の常識とは、多くの場合、お客様のためではなく、供給者側の都合で作り上げられた「内輪のルール」に過ぎないのだと。
売れない兆しや、お客様の心変わりを感じたら、まず疑うべきは、自社の常識、業界の常識です。
大切なのは、市場やお客様が「何を・どのような形で買いたいのか」という事実(マーケットイン)に、どこまでも誠実に向き合うこと。
なぜなら、あなたの商品やサービスにお金を払い、会社の未来を支えてくださるのは、同業者ではなく、お客様なのだから。
あなたの業界の「非常識」は、他の業界では「常識」かもしれません。
その逆もまた然りです。
少しだけ視野を広げてみれば、そこにビジネスを飛躍させるヒントが隠されているはずです。
その「業界の常識」、本当に顧客のためですか?社長110番で客観的な視点を取り入れる
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼もし、あなたが全くの異業種から今の業界に転職してきたとしたら、まず最初に「おかしい」と感じるであろう「常識」は何ですか?
[サムネールは ChatGPT で作成しました。]
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