勘と経験だけで、会社は守れますか?

経営相談

「数字の話は苦手でね…」。これまで何人もの経営者から、同じ言葉を聞いてきました。何を隠そう、私自身がそうだったからです。現場のことは誰よりも分かっているつもりで、日々の売上さえ見ていれば大丈夫だろうと。いわゆる「どんぶり勘定」です。その結果、会社を潰しました。通帳の残高が日に日に減っていく恐怖、社員に給料を払えなくなるかもしれないプレッシャー。あの時の無力感は、今でも忘れられません。

数字は、ただの無機質な記号ではありません。それは、会社の健康状態を教えてくれる「診断書」であり、未来への道筋を照らす「羅針盤」です。これを見ずに経営をするのは、計器を見ずに嵐の海へ船を出すようなもの。勘と経験という名の小さなコンパスだけを頼りに進む航海が、いかに危険なことか。私は、その代償をあまりにも高く支払いました。

会社の命運を握る、たった3つの数字

難しい財務諸表をすべて理解する必要はありません。しかし、社長であるあなたに、これだけは最低限、自分の言葉で語れるようになってほしい数字が3つあります。それは、会社の「損益分岐点」「資金繰り」、そして「自己資本比率」です。

まず「損益分岐点」。これは、会社が赤字でも黒字でもない、トントンになる売上高のことです。つまり、あなたの会社が生き残るために、最低限稼がなければならない金額。これを知らずに売上目標を立てるのは、ゴールの場所を知らずにマラソンを走るようなものです。あとどれくらい頑張れば利益が出るのか、それが分かれば、社員の目の色も変わってきます。

次に「資金繰り」、つまりキャッシュフローです。よく「黒字倒産」という言葉を耳にしませんか?帳簿上は利益が出ていても、手元にお金がなければ会社は潰れます。売上が入金されるまでのタイムラグ、仕入れの支払い、借入金の返済…。お金は、会社の血液です。この流れが止まれば、どんなに大きな会社でも心臓が止まってしまうのです。

最後に「自己資本比率」。これは、会社の総資産のうち、返済不要の自分のお金がどれくらいの割合を占めるかを示す、会社の「体力測定」のようなものです。この比率が低いということは、借金が多く、経営が不安定だということ。ちょっとした業績の悪化という嵐で、簡単に転覆しかねない船だということです。銀行も、この数字を厳しく見ています。

数字は、未来を守るための武器になる

これらの数字を毎月眺める習慣をつけるだけで、会社の景色は全く違って見えてきます。「今月は損益分岐点を超えたから、少し広告に投資しよう」「来月の支払いが厳しいから、早めに銀行に相談しよう」。そんな風に、先手を打てるようになるのです。

数字は、あなたを縛るものではありません。むしろ、勘と経験だけの孤独な経営からあなたを解放し、未来を守るための強力な「武器」になってくれます。難しい会計ソフトは不要です。まずは、この3つの数字をご自身の会社の状況に当てはめて、紙に書き出してみてください。そこから、すべてが始まります。

自社の数字を読み解き、未来の打ち手を共に考える経営参謀をつけませんか?


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この記事を書いた人
おおもと経営オフィス 代表
大本 佳典

大本佳典【公式】 / Yoshinori Oomoto
おおもと経営オフィス 代表
1993年より企業経営に携わる、「経営者の心に寄り添う経営コンサルタント」
[経歴と実績]
経営戦略立案、融資サポート、ビジネスコーチングの専門家。年間のセミナーなど登壇回数は100本超え。
北海道商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、北海道商工会連合会エキスパートバンク登録専門家として活動。
[趣味]
美味しい料理と日本酒を楽しむこと、写真撮影。
北海道を愛車の MINI COOPER で走り回ること。年間走行距離は20,000km超。
[ブログについて]
経営者の皆様に寄り添い、実践的なビジネス戦略や心構えについて発信してます。
失敗と復活を経験した視点から、北海道の企業の成長と発展に少しでも貢献できたら嬉しいです。

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