「責任」と「権限」の本質

人事労務

かつて私は、若手社員として社内報の制作を任されたことがありました。しかし、その時の上司は「成功は自分の手柄、失敗は部下の責任」という姿勢で、私は常に緊張を強いられていました。その経験は、後に私が上司の立場に立った時、「責任と権限とは何か」を考える契機となりました。

今回は、ドラッカーの知見を基に、組織における「責任」と「権限」の本質について書いてみます。

責任と権限の本質:ドラッカーの洞察

ドラッカーは、「責任」と「権限」を「1つの仕事の2つの側面」として捉えています。この視点は、組織運営において極めて重要な示唆を与えてくれます。

単純な定義では、「責任」は果たすべき義務や任務、「権限」は仕事を遂行するための権利や自由とされます。しかし、その本質はより深いところにあります。

責任と権限は、「決める権利」と「実行する義務」という形で密接に結びついているのです。この2つが適切にバランスを取れているとき、組織は最も効果的に機能します。

日本企業における責任と権限の歪み

多くの中小企業で見られる典型的な問題は、管理者に責任だけを押し付け、適切な権限を与えていないことです。

私が経験した「成功は上司の手柄、失敗は部下の責任」という構図は、まさにこの歪みを象徴しています。このような状況では、部下は常に不安を抱えながら仕事をすることになり、創造性や主体性が著しく損なわれます。

効果的な責任と権限の配分

後に私は、上司として部下に明確な権限をあたえて、同時にトラブルや失敗が発生した際は、私自身が責任を負うと宣言しました。その結果、部下たちは伸び伸びと仕事に取り組み、より良い成果を上げることができました。

この経験から学んだことは、上司が取るべき姿勢として:

  1. 権限委譲は、信頼関係を基盤に行う
  2. 失敗のリスクは最後は上司が引き受ける
  3. 部下の自主性を重視する

という3点が重要だということです。

まとめ:組織の成長に向けて

責任と権限の適切な配分は、組織の成長における礎となります。ドラッカーの理論が示す通り、これらは表裏一体の関係にあり、どちらか一方だけを与えても効果的な組織運営は望めません。

経営者として、私たちは常に組織における責任と権限の在り方を見直し、より健全な組織文化づくりを目指していく必要があります。それは、単なる業務効率の向上だけでなく、社員一人一人の成長と組織全体の発展につながる重要な取り組みなのです。

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サムネイルは Adobe Firefly で作りました。

この記事を書いた人
おおもと経営オフィス 代表
大本 佳典

大本佳典【公式】 / Yoshinori Oomoto
おおもと経営オフィス 代表
1993年より企業経営に携わる、「経営者の心に寄り添う経営コンサルタント」
[経歴と実績]
経営戦略立案、融資サポート、ビジネスコーチングの専門家。年間のセミナーなど登壇回数は100本超え。
北海道商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、北海道商工会連合会エキスパートバンク登録専門家として活動。
[趣味]
美味しい料理と日本酒を楽しむこと、写真撮影。
北海道を愛車の MINI COOPER で走り回ること。年間走行距離は20,000km超。
[ブログについて]
経営者の皆様に寄り添い、実践的なビジネス戦略や心構えについて発信してます。
失敗と復活を経験した視点から、北海道の企業の成長と発展に少しでも貢献できたら嬉しいです。

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