社内での横領防止:現金の着服を防ぐための3つの鍵と対策

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はじめに:3か月、仕事になりませんでした

「うちに限ってそんなことは起きない」横領の話をすると、ほとんどの社長さんがそう言います。私も、当事者になるまでは同じことを思っていました。直属の上司が推定8億円を横領して、ある日忽然と姿を消したんです。そこから3か月、私は仕事らしい仕事ができませんでした。金融機関への説明、取引先へのお詫び行脚、資金繰りの綱渡り。夜は眠れず、朝は胃が重い。本気で「この会社を辞めようか」と考えた時期です。

15年以上、いろんな会社の中に入って社員さんの話を聞いてきましたが、横領は「特別な人」が起こすものではありません。普通の社員さんが、ある条件が3つ揃ったときに踏み越えてしまう。今日はその3つを、当時の自分への戒めも込めてお話しします。

原因1「動機」お金の問題は、顔に出ません

横領のスタート地点は、たいてい本人のプライベートにあります。多重債務、ギャンブル、家族の事情、見栄での出費。本人にとっては「ちょっと借りるだけ」「来月返せばいい」という軽い一歩です。問題は、こうしたサインが職場では顔に出ないこと。むしろ真面目で評価の高い社員ほど、やましいことを隠すのが上手です。

あとから振り返ると、私の上司にも兆しはありました。やたらとススキノのママさんから電話が来る(当時は携帯電話がなかったのです)、休み時間になると競馬新聞とにらめっこする、数十万もする一眼レフカメラをポンポンと買い替える。でも、当時の誰もそれを「危ない兆候」として読めなかった。読むためには、日常的に雑談ができる距離感が必要です。1on1という大層な制度でなくていい。社長が月に一度、社員さんと一杯コーヒーを飲む。それだけで、出てくる言葉は変わります。あなたは最近、社員さんと「仕事以外の話」をしたことがありますか?

原因2「自己弁護」経営者は背中を見られている

横領に手を染める人は、必ず自分を正当化します。「これだけ働いているのに給料が安い」「社長だって経費を私的に使ってる」「ちょっと借りるだけだ」。この自己弁護のスイッチを最も強く押すのは、皮肉なことに経営者自身の振る舞いです。社長が公私混同していれば、社員さんは無意識にそれを言い訳の材料にします。

私がいた会社も、正直に言えば、経費の使い方に透明性がありませんでした。ルールが曖昧だった、というより、「上の人は別」という空気があったんです。その空気があると、社員さんの中で「自分だけが我慢する理由」が静かに崩れていきます。逆に言えば、社長が小さな経費精算まできちんとやっている会社では、不思議と不正が起きにくい。社員さんは、規程集ではなく、社長の背中を見ています。

原因3「機会」一人に任せた瞬間からリスクが芽吹く

どれだけ意志の強い人でも、「できてしまう環境」に長く置かれると、心は揺れます。中小企業で起きる横領のほとんどは、現金や口座を一人の社員さんが長年握りっぱなしになっていたケースです。「あの人に任せておけば安心」その安心が、実は一番危ない言葉なんです。

私の上司も、まさにそうでした。最初は数千円の使い込みだったかもしれません。誰もチェックしないまま、金額の桁が一つずつ増えていった。気づいたときには8億円。途中で誰か一人が帳簿を覗いていれば、本人もどこかで止まれたはずなんです。横領を防ぐ仕組みは、社員さんを疑うためのものではありません。社員さんを「踏み越えさせない」ためのものです。あなたの会社で、現金や通帳を一人で管理し続けている業務はありませんか?

まとめ:油断は、誰かを犯罪者にする

動機・自己弁護・機会。この3つが揃ったとき、ごく普通の社員さんが横領に踏み出します。注目すべきは、3つのうち2つは経営者がコントロールできるということです。社員さんの動機は消せなくても、自己弁護の余地と機会というスキは、経営者の手で減らせます。

当時の社長・専務は「信頼していたのに裏切られた」とことあるごとに言ってました。でも、今になって振り返ると、信頼という言葉に甘えて仕組みを作らなかった経営側の油断が、経理係を犯罪に追い込んだ側面もあったと思います。社員さんを守るとは、性善説で放任することではなく、踏み越えなくて済む環境を用意することなんです。

今日からできる、3つの小さな一歩

  • 現金・通帳・印鑑が「一人に集中している業務」を書き出す
    洗い出すだけで、8割の経営者がヒヤッとします。まずは見える化から。
  • 社員さんと月に1回、仕事以外の話ができる時間をつくる
    制度化しなくていいんです。コーヒー一杯、15分。それで十分。
  • 社長自身の経費精算を、社員さんと同じルールで通す
    みずからが手本となる。これが一番効きます。

横領は、起きてからでは取り返しがつきません。私は3か月分の人生を失いましたが、あなたには同じ経験をしてほしくないんです。このブログを読んだ今日が、見直しを始める一番いいタイミングです。

私の「社長専門コーチングサービス」では、こうした「社内で誰にも相談できないリスク」を、社長と一緒に棚卸しするところから始めます。経営戦略・人事・財務という3つの柱を入り口にしながら、最終的にはいつも「社員のこと、誰に相談できるか」という話にたどり着きます。社内にも、家族にも、同業者にも話しにくい。その手前で立ち止まっている社長さんに、伴走する経営顧問でありたいです。

経営者の孤独は、消すものではなく、分かち合うものです。あなたの会社の話を聞かせてください。

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サムネールは ChatGPT で作成しました

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この記事を書いた人

大本佳典【公式】 / Yoshinori Oomoto
おおもと経営オフィス 代表
1993年より企業経営に携わる、「経営者の心に寄り添う経営コンサルタント」
[経歴と実績]
経営戦略立案、融資サポート、ビジネスコーチングの専門家。年間のセミナーなど登壇回数は100本超え。
北海道中小企業総合支援センター登録専門家、北海道商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、北海道商工会連合会エキスパートバンク登録専門家として活動。
[趣味]
美味しい料理と日本酒を楽しむこと、写真撮影。
北海道を愛車の MINI COOPER で走り回ること。年間走行距離は30,000km超。
[ブログについて]
経営者の皆様に寄り添い、実践的なビジネス戦略や心構えについて発信してます。
失敗と復活を経験した視点から、北海道の企業の成長と発展に少しでも貢献できたら嬉しいです。

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