頭では分かっているのです。「この事業は、もう潮時だ」と。それなのに、いざ決断しようとすると、心がブレーキをかける。私にも、そんな苦い経験があります。以前、鳴かず飛ばずの「社長塾」を手掛けていた時のことです。毎月のように赤字が膨らんでいく現実から目をそらし、「もう少し頑張れば好転するはずだ」「ここまで投資してきたんだから」と自分に言い聞かせていました。いわゆるサンクコスト(埋没費用)の罠です。しかし、本当の理由はそれだけではありませんでした。その事業を始める時に応援してくれた仲間や、信じて参加してくれた塾生の顔が浮かび、自分の手でそれを終わらせることが、彼らへの裏切りのように感じて怖かったのです。儲からない事業をやめられない根っこにあるのは、数字や理屈ではなく、経営者の「情」や「過去へのこだわり」であることが、実はとても多いのです。
情に流されないための「事業のやめどき」チェックリスト
その「情」が、会社全体の未来を蝕む前に、一度立ち止まって、冷静に自問自答してみる時間が必要です。もしあなたが今、やめるべきか悩んでいる事業があるなら、ぜひこの4つの質問に答えてみてください。
- その事業は、会社に「キャッシュ」を運んできていますか?(売上や利益ではなく、最終的に手元に残るお金です)
- その事業に投下している人材・時間・資金を、もっと成長が見込める事業に振り向けたら、どんな未来が描けますか?
- 3年後、市場はその事業を今以上に必要としているでしょうか?
- そして、これが最も重要な質問です。もし今、その事業をやっていなかったとして、あなたは明日から「よし、始めよう!」と決断できますか?
これらの問いに、一つでも「ノー」がつくのなら、それは「やめどき」が近いサインなのかもしれません。
「撤退」を、社員に前向きなメッセージとして伝える方法
事業からの撤退は、経営者にとって辛い決断ですが、そこで働く社員にとっては生活に関わる一大事です。だからこそ、伝え方が何よりも重要になります。「経営不振で、この事業をたたむことになった」と伝えれば、社員は不安になり、会社への信頼を失うでしょう。そうではありません。伝えるべきは、未来への希望です。「今回、我々は会社の未来のために、〇〇という分野に経営資源を集中させるという『戦略的な判断』を下した。これは、未来の成長に向けた『攻めの采配』だ」と。そして、撤退する事業に尽力してくれた社員への感謝と敬意を伝え、彼らの新しい活躍の場を必ず用意するという、会社の固い意志を示すこと。撤退は「敗北」ではなく、未来を掴むための「選択」なのだというメッセージが社員に伝わった時、会社はより強く、一つのチームになれるのです。
不採算事業からの撤退。その決断を、一人で抱え込まないための相談
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ あなたが明日「やめる」と決断することで、あなたの会社には、どんな新しい未来が生まれる可能性がありますか?
[サムネールは ChatGPT で作成しました。]
#経営参謀サービス #ビジネスコーチ #エグゼグティブコーチング #経営者の悩み #事業撤退 #経営判断 #サンクコスト #選択と集中 #不採算事業 #ピボット #会社の未来 #起業家 #社長 #経営者と繋がりたい #経営戦略