「気合が足りない」「根性で乗り切れ」
若い頃の私は、そんな言葉を自分自身に、そしてもしかしたら社員にも投げかけていたかもしれません。泊まり明けの朝のミーティングも、熱い商談も、乗り越えてこそ一人前。そんな風に本気で信じていました。「自分が倒れるわけがない」と。
体は、正直です。
頭痛、めまい、食欲不振。今思えば、数えきれないほどのサインが出ていました。しかし、当時の私はそれを全て無視しました。「疲れているだけだ」「休んでいる暇はない」。目の前の仕事に追われるあまり、心と体が上げる悲鳴に耳を傾ける余裕を、完全に見失っていたのです。
そして、その日は突然やってきました。
朝、いつものように布団から起き上がろうとしても、体に全く力が入らないのです。目が回るような感覚。まるで、自分だけ重力が何倍にもなったかのように、指一本動かすことすら億劫でした。
「ああ、これが『倒れる』ということか」。他人事のように、ぼんやりと思いました。
部屋の天井を見つめながら、考えたこと
幸い、大事には至りませんでしたが、数日間、自宅で絶対安静を命じられました。電話もメールも禁止。ただひたすら、部屋の天井を見つめて過ごすしかありません。
最初は、仕事のことが気になって仕方ありませんでした。あの案件はどうなっただろう。部下たちは、ちゃんとやれているだろうか。焦りだけが募ります。
しかし、二日、三日と経つうちに、焦りは別の感情に変わっていきました。それは「恐怖」です。もし、私がこのまま起き上がれなくなったら、会社はどうなるのだろう。私が担当している資金繰りの仕事は?私しか知らないあの情報は?私が倒れるということは、単に一人の人間が戦線を離脱するということではない。事業そのものを、根幹から揺るがす最大のリスクなのだと、この時初めて心底、理解したのです。
最高のパフォーマンスは、最高のコンディションから
会社を潰したどん底の経験も辛いものでしたが、この天井を見つめ続けた数日間も、私にとっては忘れられない教訓となりました。
私たちは、事業を守るために必死で戦っています。しかし、その資本となる自分自身の体を、あまりにも軽視していないでしょうか。最高のパフォーマンスは、最高のコンディションからしか生まれません。睡眠時間を削り、無理を重ねて出した成果は、一見素晴らしいものに見えるかもしれません。しかし、それは未来のエネルギーを前借りしているに過ぎず、いつか必ず破綻します。
経営者にとって、体調管理はプライベートな問題ではなく、事業戦略そのものです。自分自身を大切にすること。それこそが、会社と、そして社員の生活を守るための、最も重要な責任なのだと、私は身をもって学びました。
「自分が倒れるわけがない」その過信が、取り返しのつかない事態を招く前に相談する
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ もし今、あなたが明日から1週間、一切の連絡を絶って休むとしたら、あなたの会社はどうなりますか?具体的に想像してみてください。
[サムネールは ChatGPT で作成しました。]
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