リスク管理の重要性: ある社員の不正行為から学ぶ

リスク管理の重要性: ある社員の事例から学ぶ お仕事風景

このブログでは、社内のリスク管理の重要性について再考する機会を提供させていただきたいと思います。

今回は、実際に起こった具体的な事例を元に、不正行為の予防策や社内リスク管理の重要性について、一緒に考えます。

不正行為に至った事例

かつて、ある企業で営業担当者Aさんが取引先から不適切なバックマージン(※契約を結んだ後に取引先からもらう追加の報酬)を受け取っていることが判明しました。

Aさんは優秀な営業成績を誇っており、部長からも高い評価を受けていました。

しかし、Aさんが有給休暇を取得している間に、事務員のBさんがAさんのデスクで通帳を発見し、この事実が明らかとなりました。

  • Aさん名義の通帳の存在
  • 取引先から毎月のように入金が行われている記録

上記の2点から、Aさんが取引先から不正にバックマージンを受け取っていたことが明らかになりました。

注意

自明のことですが、他人の私物を無断で開くことは、個人のプライバシーを侵害する行為であり、許されるべきではありません。今回の事例は、偶然によって発見されたものであり、Bさんの行為を推奨するものではありません。

影響と対応: 社員個人と組織に及ぼす影響

社員が個人的に取引先からバックマージンを受け取る行為は、会社への損害だけでなく、取引先との信頼関係も脅かします。

この事件の後、Aさんは適切な処分を受け、バックマージンを支払っていた取引先との関係はギクシャクし、結果的に取引が中止されました。

予防策: 物と心の両面から

さて、このような状況を未然に防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。

私からは、「物」と「心」の両面から対策を考えてみることをお勧めします。

「物」の対策

「物」の対策とは、目に見える形で行われるものです。

具体的な手段としては以下のようなものが考えられます。

  • 定期的な異動:金融機関では3年から4年に一度は異動が行われます。異動により、不正行為を隠し続けるのが難しくなります。
  • 強制的な有給休暇:半年に一度、1週間程度の強制的な有給休暇を設けることも一つの対策です。この期間に他の社員がその人の業務を代行することで、不正行為が明るみに出やすくなります。
  • 就業規則の罰則の厳格化:社員の不正行為に対する罰則を明確にすることも有効です。ただし、罰則が厳しくなると、社員が会社を信頼しきれないと感じる可能性もありますので、バランスが重要です。

「心」の対策

次に、「心」の対策とは、目に見えない部分での取り組みです。

ここで重要となるのが社員教育です。具体的には以下のような内容が考えられます。

  • モラル教育:社員自身が正しい行動を選びやすくするためには、モラル教育が必要です。外部から講師を招くのも一つの方法ですが、中堅・中小企業では、社長自身が講師となり教育することを、おすすめしております。
  • 社長による教育:社長が自ら教育することで、社員との距離が縮まり、社長の考え方や理念を直接伝えることができます。具体的なビジネス知識を社員に伝え、社員の新たな才能を発見し、人材開発につなげることができます。

これらの対策には時間と労力が必要ですが、信頼関係の構築と不正防止の体制作りは、組織の健全な成長にとって不可欠な要素となります。

まとめ

モラル教育は予防医学のようなものです。

社員を教育することで、不正行為を未然に防ぐことができます。

しかし、モラル教育だけでは不十分で、適切な内部統制を構築することも同様に重要です。

組織として、以下のような対策も検討することを、おすすめします。

  • 内部告発制度の設置:匿名でも可能な内部告発制度を設け、社員が不正行為を見つけたときに報告しやすい環境を作ります。また、告発した社員が不利益を被らないような保護措置も必要です。
  • 第三者による定期的な監査:第三者による監査を定期的に行うことで、社内で見落としているリスクを見つけることができます。監査の結果を社内全体で共有することで、不正行為の抑止効果も期待できます。
  • 社内の情報開示:透明性を高めることで、社員が組織を信頼することが可能になります。また、社員が自分たちがどのように組織の一部として貢献しているかを理解することが、モラルの向上につながります。

以上、リスク管理の観点から、組織内の不正行為の予防策と対応についてご説明しました。

このような事態を避けるためには、リスク管理のための体制づくりが重要です。

組織としての対策だけでなく、個々の社員が組織の一員としての責任とモラルを理解し、その上で行動することが求められます。

この記事を書いた人
おおもと経営オフィス 代表
大本 佳典

大本佳典【公式】 / Yoshinori Oomoto
おおもと経営オフィス 代表
1993年より企業経営に携わる、「経営者の心に寄り添う経営コンサルタント」
[経歴と実績]
経営戦略立案、融資サポート、ビジネスコーチングの専門家。年間のセミナーなど登壇回数は100本超え。
北海道商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、北海道商工会連合会エキスパートバンク登録専門家として活動。
[趣味]
美味しい料理と日本酒を楽しむこと、写真撮影。
北海道を愛車の MINI COOPER で走り回ること。年間走行距離は20,000km超。
[ブログについて]
経営者の皆様に寄り添い、実践的なビジネス戦略や心構えについて発信してます。
失敗と復活を経験した視点から、北海道の企業の成長と発展に少しでも貢献できたら嬉しいです。

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