「よし、会社を良くするために、新しいシステムを導入するぞ!」
社長であるあなたが、会社の未来を思って下した大きな決断。社員もきっと喜んでくれるはずだ。そう思って発表したとき、返ってきたのが、想像とは真逆の、重い沈黙や「それは無理です」という抵抗の声だった、という経験はありませんか。
良かれと思ってやっているのに、なぜ彼らは抵抗するのか。
かつての私は、それを「やる気がない」「変化を嫌う保守的な人たちだ」と、社員のせいにしていました。しかし、会社を潰すという手痛い失敗を経て、ようやく気づいたのです。
彼らが抵抗するのは、決してあなたに敵意があるからではありません。
その抵抗の根っこにあるのは、多くの場合、「不安」や「恐怖」なのです。
「新しいことを覚えて、今の業務が回らなくなったらどうしよう」
「自分だけついていけなかったら、どう思われるだろう」
「どうせ、また社長の思いつきで、現場の自分たちが振り回されるだけだ」
彼らは、あなたの「新しい挑戦」に反対しているのではなく、その挑戦によって自分たちの日常が脅かされることを恐れている。ただ、それだけなのです。
「正論」だけでは人の心は動かせない。変革の失敗に共通する罠
専務時代、私は大きな失敗をしました。
非効率な業務を改善するため、完璧な理屈で構築した新しい業務フローを現場に導入しようとしたのです。これを使えば、残業は減り、生産性は上がる。誰も文句はないだろうと。
しかし、現実は惨憺たるものでした。
社員たちは新しいフローを全く使おうとせず、あらゆる理由をつけては、元のやり方に戻ろうとするのです。
「なぜだ!こっちの方が絶対に正しいのに!」
私は苛立ち、正論で彼らを説き伏せようとしましたが、そうすればするほど、彼らの心は固く閉ざされていきました。
今なら分かります。彼らにとって、その変革は「経営陣から一方的に押し付けられたもの」でしかありませんでした。
私は、変革の「正しさ」を説明することに必死で、それを使う彼らの「感情」に寄り添うことを、完全に見失っていたのです。
人は、頭で「正しい」と分かっていても、心が納得しなければ動けない。これが、多くの変革が失敗する共通の罠なのだと、私は痛感しました。
反対勢力を「最強の味方」に変える、巻き込みの処方箋
では、どうすれば社員を巻き込み、変革を進めることができるのか。
私の失敗経験から言える、処方箋は3つです。
一つ目は、まず「聴く」こと。
あなたのやりたいことを話す前に、まず現場の社員たちが「何に困っているか」「何が一番大変か」を、徹底的に聴いてください。彼らの痛みや不満こそが、変革の出発点です。
二つ目は、あなたの「弱さ」を見せること。
「このままでは会社が危ないんだ」「正直、どうすればいいか分からなくて困っている。みんなの知恵を貸してほしい」。完璧な社長ではなく、一人の人間として助けを求める。その正直さが、彼らの「当事者意識」に火をつけます。
そして三つ目は、彼らに「決めてもらう」こと。
解決策をこちらで用意するのではなく、「こういう問題があるんだけど、どうしたら解決できるかな?」と、ボールを渡してしまうのです。特に、抵抗勢力の中心人物こそ、そのプロジェクトのリーダーに抜擢する。
自分たちで考え、決めたことに対して、人は決して無責任にはなれません。
彼らはもはや「抵抗勢力」ではなく、あなたの変革を誰よりも力強く推進してくれる「最強の味方」になっているはずです。
社員の「抵抗」を「推進力」に変える組織づくりを、経営参いまだに一緒に始めませんか
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ 社員の「それは無理です」という言葉を、「こうすれば出来ます」に変えるために、あなたが明日からできる最初の対話は何ですか?
サムネールは ChatGPT で作成しました。
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