「部下を信じてるし、仕事も任せてるよ」。かつての私は、胸を張ってそう公言していました。しかし今振り返れば、それは管理職としての自分を守るための、ひどい言い訳でしかありませんでした。
タクシー会社の経営に関わっていた頃、私はいつも先回りをしていました。部下がお客様への対応で少しでも迷っている素振りを見せれば、すぐに横から口を出す。
新しい企画を考えてもらっても、粗探しをしては「やっぱり俺がやる」と結局自分で手直ししてしまう。すべては会社のため、お客様のため、そして何より社員が失敗して傷つかないようにという、歪んだ親心からでした。
良かれと思ってやっていたのです。ですが、その行動が、社員から主体的に考え、挑戦する貴重な機会を奪い続けていることに、当時の私は全く気づいていませんでした。
『どうせ部長がやるんでしょ』という無言の抵抗
変化は、静かに、しかし確実に訪れました。あれほど活気があったミーティングで、私が意見を求めても誰も口を開かなくなったのです。シーンと静まり返った会議室で、社員たちの顔を見ると、そこには諦めにも似た光がありました。
「どうせ何を言っても、最後は部長が決める」
「下手に動いて失敗するくらいなら、指示を待っていた方が楽だ」。
彼女らの目や態度が、そう無言で訴えかけているように感じました。あの瞬間の、背筋が凍るような孤独感と情けなさは、今でも忘れられません。私が信じていたはずの部下たちの目は、いつの間にか輝きを失っていたのです。
彼女らを指示待ち人間に変えてしまったのは、彼女たちの能力や怠慢ではなく、上司である私自身でした。信頼という言葉を盾に、社員の成長の芽を、私は自分の手で摘み取っていたのです。
信じるとは、失敗する権利を相手に渡すこと
どん底の中で私が学んだのは、「任せる」とは単に仕事を手渡すことではない、ということでした。それは、相手の可能性を信じ抜き、「失敗する権利」を相手に渡し、その結果については何があっても自分が全責任を負うという、経営者の「覚悟」そのものです。
人は、安全な場所から引き上げてもらうだけでは、決して強くなれません。
自分の足で立ち、転んで、膝を擦りむいて、それでも立ち上がる経験を通じてしか、本当の力は身につかないのです。
今の私が、クライアントである経営者の皆様に「伴走者」として寄り添い、答えを押し付けないのは、この痛みを伴う学びがあるからです。七転び八起きでいい。いや、転ばなければ、起き上がる強さは永遠に手に入らないのです。
過去の私のように、社員を信じきれず一人で抱え込んでいませんか?あなたの覚悟を支える「経営参謀」がここにいます。
ビジネスコーチ大本から、今日のコーチングです。
▼ あなたが部下に「まだ任せられない」と感じる仕事、その本当の理由は、部下の能力不足ですか?それとも、彼女らが失敗した時の責任を、心のどこかであなたが負いたくないと思っているからではありませんか?
サムネールは ChatGPT で作成しました
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