部下の退職が続いたとき、私は最初、「最近の若い者は辛抱が足りない」と思っていました。
前の会社で、総務部の責任者になった頃の話です。部下は3人で、私を入れて4人の総務部でした。
当時の私は、上司としてどう振る舞えばいいのかわかりませんでした。和気あいあいとやればよかったのですが、初めて「責任者」になった私は、肩に力が入りすぎていました。
部下の些細なミスも見逃さず、怒鳴り散らすこともしばしばでした。
今でいうパワハラ上司です。
部下たちは、私の顔色をうかがいながら仕事をしていました。総務部はいつもしんとしていて、その緊張に耐えられなくなった人は、退職していきました。
私が責任者になってからの2年で、部員全員が2回入れ替わっていたのです。定着率の悪さが、もろに業務に影響して悩みました。
私に原因があるのではないかと思い至ったのは、退職が続くなかでのことです。「このままじゃいけない」と思った私は、友人や知人にアドバイスを求め、すべては自分に原因があったと気がつきました。
部下との個人面談など、さまざまな工夫を始めたのは、それからです。
個人面談は、最初はぎくしゃくしたものでした。今でいうワンオンワンミーティングです。
「最近の仕事はどうですか」「同僚との関係はどうですか」「他部署との関係はどうですか」といったことを一方的に聞いていましたが、それでは話しづらいだろうと思い直しました。
2回、3回と続けていくうちに、まずは話したいことを話せる雰囲気作りを意識し、相手の話を聞き、部下が話したいことを話してもらう方向へと持っていきました。
人間不思議なもので、定期的に(当時は確か2〜3ヶ月に1回くらい)個人的に会えると分かると、部下たちも「何かあったらその時に話そう」という心積もりができます。
定期面談を何回も重ねるうちに、部下の家庭環境なども分かってきました。上司である私の方にも、思い入れのようなものが生まれました。愛着とは少し違うかもしれませんが、「この人のために何をしてあげるのが一番いいのだろう」と自然に考えられるようになったことが、自分自身にとっても一番良かったと感じています。
同時に気をつけたのが、言動です。部下のプライドを傷つけるような言葉は使わず、明るくて前向きな言葉を使うように意識しました。
部内の雰囲気は変わりましたが、定着率が良くなるまでに5年ほどかかりました。
部下が退職すると、理由を相手に求めたくなるものだと思います。私もそうでした。
部下が退職したら、相手を責める前に、自分の言動を振り返る。私は、これが社長や管理職の大事な仕事だと考えています。
当時は苦しかったですが、今となっては財産だと思っています。人材がなかなか定着しない会社のお手伝いをするとき、実体験にもとづくアドバイスができるからです。
部下が退職したとき、その理由を、自分の言動の中に探したことはありますか。
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