「全部やってくれるんでしょ」と言われると、少し困る
セミナーでよく聞かれます。「AIって、結局ぜんぶやってくれるんでしょう」。そのたびに、少し困ります。できることは、確かに増えました。でも、”ぜんぶ任せる”のは、いちばん危ない使い方だからです。大事なのは、どこまで任せて、どこからは自分がやるか。その線引きこそが、経営者の仕事になります。
AIが得意なこと、人間がやるべきこと
私は相談の現場で、こう分けています。AIに向いているのは、散らかったメモを整理する、足りない情報の”質問”を洗い出す、数字を拾い上げる、たたき台をつくる——ここまで。一方、人間がやるべきなのは、制度に合っているかの確認、数字が本当に正しいかの検算、”自分の言葉”へ戻すこと、そして最後に、やるかやらないかの決断。任せると、丸投げは、違います。
「申請書を書かせる」より「質問を出させる」
補助金の申請書を、AIにまるごと書かせようとする方がいます。気持ちは分かります。でも、私がおすすめしているのは逆です。「書かせる」のではなく、「足りない質問を出させる」。あなたの計画のどこが弱いか、審査する人なら何を突っ込むか。それを先に洗い出させて、答えるのは自分。このほうが、通る計画に近づきます。
下書き7割、社長の手入れ3割
実際にうまくいっている社長さんは、だいたいこの配分です。AIに7割の下書きをつくらせて、残りの3割を、自分の手で作り変える。この3割に、社長の思いや、熱が乗る。全部をAIに任せた文章は、なぜか、読み流されてしまう(目が滑る…)。人が動くのは、最後の3割に熱がこもっているときなんです。
「できます」と言えることと、「引き受けられる」ことは違う
先日、ある社長さんに需要予測を頼まれました。私はつい「できます、できます」と答えた。でも、話しているうちに、口が重くなりました。仕入れの読みは、私がずっとやってきた仕事ではない。AIを使えば数字は出ます。けれど、その数字に責任を持てるかは、別の話です。ここを混ぜると、危ない(混ぜるな危険、です)。「AIができること」と「自分が引き受けられること」は、分けて考えないといけません。
任せてはいけない領域
ある地域で、相談窓口の担当者をAIに置き換えようとした話を耳にしました。結局、うまくいかなかった。相談の電話をした人が「あなた、本当に人間ですか」と何度も聞いたそうです。人の迷いに寄り添う仕事、相手の顔色を見て言葉を選ぶ仕事。ここは、任せてはいけません。どこまで機械に渡し、どこは人が担うか。それを決めるのは、AIではなく、あなたです。
自社の仕事を「任せる」と「自分でやる」に線引きしたい経営者の方と、一緒に整理します
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ あなたの会社で、”これだけは人間がやる”と決めている仕事は、何でしょうか。
