先日、商工会議所のセミナーで、ある社長さんがこう言いました。「AIって、去年もブームでしたよね」。参加者の多くが60代という会場で、半ばあきれたような一言でした。
その気持ちは、よくわかります。この5年、「AI何とか」という言葉が変わるたびに、現場の仕事はたいして変わってこなかったからです。ですから「どうせ今回も」と身構えるのは、むしろ健全な警戒だと私は思います。
ただ、去年と今年では、道具の中身が変わりました。去年のAIは、総会の挨拶文を書いてもらう道具でした。今年は「何月何日に総会をやる」と伝えるだけで、会場の予約から案内状の段取りまで、自分で組み立てて進めようとします。手順をやらせる道具から、手順を組ませる道具へ。たった1年での変化です。
では、本当の問いは何か。「流行語かどうか」ではありません。ライバル企業がAIで見積もりの返信を始めたとき、自社はどうするか。任せる仕事と、自分が握る判断を、どこで線引きするか。社長がどうするかを選択する局面に入ったのだと思います。
すぐに全部を任せる必要はありません。けれども「AIなんて流行語だろう」と横に置くと、動き始めた相手との差は、確実に開いていきます。まずは、あなたが毎週いちばん面倒だと感じている仕事を、ひとつ思い浮かべてみてください。
AIに任せる仕事と、自分で握る判断の線引きを一緒に整理しませんか。
ビジネスコーチ大本から、今日の質問です。
▼ あなたの会社で「これだけは絶対に自分が握っていたい」と思う判断は何ですか。そして、明日からでも誰かに任せていい仕事は、どれでしょうか。
