絶好調だと思い込んでいた、あの頃

社長専門コーチング

「よし、今月も売上目標達成だ!」。私の友人であるA社長が経営していた会社では、当時、毎月のように景気の良い声が響いていたそうです。
彼の事業はまさに右肩上がりで、拡大の一途。周囲からも「A社長、すごいね」「絶好調だね」と声をかけられ、彼自身、完全に有頂天になっていました。
「このまま行ける。俺の勘がそう言ってるんだから間違いない」。彼は当時、本気でそう信じ込んでいたと、後に苦笑いしながら語ってくれました。
当時の彼は、会社の数字といえば損益計算書(PL)の「売上」と「利益」くらいしか見ていませんでした。いや、見ていたというより「眺めていた」だけ。
面倒な資金繰りの計算は経理に任せきりで、典型的な「どんぶり勘定」に陥っていたのです。売上が伸びているのだから、キャッシュも当然潤沢にあるはず。そんな危険な思い込みだけが、彼の判断基準のすべてでした。

銀行からの電話で知った、残酷な現実

そんなある日、彼の会社のメインバンクの担当者から一本の電話がかかってきました。「A社長、少しよろしいでしょうか。来月の返済の件ですが…」。その声は、いつもより明らかに硬いものだったといいます。
話を聞いて、彼は自分の耳を疑いました。銀行が把握している彼の会社のキャッシュフローは火の車で、このままでは来月の手形の決済も危ういというのです。
「そんなはずはない!売上はこんなに伸びているんですよ!」。思わず声を荒らげた彼に、担当者は静かに、しかし残酷な現実を突きつけました。
売上増に伴う仕入れの増加、回収サイトのズレ、未回収の売掛金…。彼が「勘」という名の霧の中で見ていた景色と、銀行が「数字」というレンズを通して見ていた現実は、全くの別物だったのです。
血の気が引くとは、まさにこのこと。あれだけ絶対の自信を持っていた彼の「勘」が、いとも簡単に崩れ去った瞬間でした。

私たちが心に誓うべき、失敗から得た「数字」との向き合い方

彼のこの壮絶な経験は、私たち経営者に何を教えてくれるのでしょうか。幸い、彼はその後多くの人の助けもあって会社を立て直し、今では誰よりも数字に真摯に向き合う立派な経営者として活躍しています。
そんな彼が、そして私自身が、この経験から声を大にして伝えたい教訓があります。
それは、経営における「勘」は、それを裏付ける「数字」があって初めて役に立つということです。売上という表面的な高さに一喜一憂するのではなく、その下に流れるキャッシュの流れを正確に読み解く。
資金繰り表を作り、自社の血液であるお金の流れを「見える化」する。それは、経営者にとって最も基本的で、最も重要なことです。どうか、かつての彼のように、孤独の中で見えない不安と戦わないでください。数字は、あなたを脅すものではなく、未来を照らす最強の武器になるのですから。

勘頼りの経営から脱却し、お金の不安を解消する経営参謀サービス


彼の話は、決して他人事ではありません。すべての経営者にとって、大切な教訓が詰まっています。

ビジネスコーチ大本から今日の問いです。

▼ あなたがもし、1ヶ月後に会社の資金が完全に底をつくと知ったら、明日から具体的に何を変えますか?

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サムネールは ChatGPT で作成しました。

この記事を書いた人
おおもと経営オフィス 代表
大本 佳典

大本佳典【公式】 / Yoshinori Oomoto
おおもと経営オフィス 代表
1993年より企業経営に携わる、「経営者の心に寄り添う経営コンサルタント」
[経歴と実績]
経営戦略立案、融資サポート、ビジネスコーチングの専門家。年間のセミナーなど登壇回数は100本超え。
北海道商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、北海道商工会連合会エキスパートバンク登録専門家として活動。
[趣味]
美味しい料理と日本酒を楽しむこと、写真撮影。
北海道を愛車の MINI COOPER で走り回ること。年間走行距離は20,000km超。
[ブログについて]
経営者の皆様に寄り添い、実践的なビジネス戦略や心構えについて発信してます。
失敗と復活を経験した視点から、北海道の企業の成長と発展に少しでも貢献できたら嬉しいです。

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